【復刻SS】中ノ島妙
- 2016/11/08
- 08:26
ツイッターでゆずソフトさん作品のSSを探してるって方がいらっしゃったようなので、
以前書いたSSをうpしたいと思います~
あ、でもこの妙の話は俺の欲望丸出しだったはず……
ゆいにゃんファンは読まない方がいいかも。
ゆいにゃんファンで気分悪くした方いらっしゃったらすみません。
それでは本編へどうぞ
『ユメユメウタガウコトナカレ・・・ユメミルコドモのユメノユメ・・・』
「わぁぁぁ!」
ホール内が暗転すると大きな歓声があがった。 ここはとあるコンサート会場。
普段はブラスバンドの演奏会などが催される会場だ。
しかし本日はブラスバンドによる演奏会が行われるわけではない。
では何に使われるのか? それは・・・
中ノ島妙のワンマンライブである!
・・・
中ノ島妙は今をときめく超人気声優である。声優名は茅場樹アリス。
自分と同じ年くらいの少女から、年下、年上といった女性はもちろん、
男性の役や、人間ではない生物まで演じる。
その演技力の高さは、人々を魅了していった。
しかも彼女の才能はそれだけではない。
とある作品で歌を歌ったところ、その歌唱力も人並みはずれていることがわかる。
その後数々のゲームやアニメの曲を歌うようになる。
その曲数は数百曲にも及び、ファンでも全ての曲を把握しているのはごく一部である。
今日はそんな彼女の誕生日を祝うライブが行われるのだ。
会場には開演4時間以上前にも関わらず既にたくさんのファンがつめかけている。
会場限定のグッツを買うためである。
「よっしゃ~!アリスちゃんのサイン入りポスター手に入れたぜ!」
「俺、グッツ全部買っちゃったよ!ああ、アリスちゃんマジかわいいよな~」
「ああ、まさに俺達の天使!俺、アリスちゃんに一生着いていく!」
「お前それ聞きようによっては危ない人だぜ?
まあでも俺もアリスちゃんをいつまでも応援し続けるけどな!」
グッツを手に入れたファン達は熱く各々の想いを語り合っている。
その様子を中ノ島妙は変装して柱の影からこっそり覗いていた。
男装に帽子、サングラスに服をかなり着込み、
体系で女性だとばれないようにするという徹底ぶり。
それでも用心には用心を重ね極力目立たないところから見ていた。
しかし・・・
ポン!
後ろから肩を叩かれた。
(ひゃう!)
びっくりしてつい声が出そうになったがなんとか堪えることができた。
恐る恐る振りかえると見知らぬ人がいた。恐らくファンの人と思われる。
「ねえこんなところで何してるの?」
「あ、あのわた・・・ボクは・・・」
咄嗟に、男性キャラを演じる時に使った声を再現する。
「こんなところで待ち合わせとも思えないしもしかして一人?」
「あ、はい・・・」
「そっか~あ、もしかしてアリスちゃんのライブは初めて?」
「え、え~と」
「ああ、いいよ、反応でわかったから。そっか~初参加か~」
そのファンは戸惑いながら話している妙を見て初参加だと判断したようだ。
「懐かしいなぁ。
俺も彼女のファンになってもう6年位になるんだけど、
まだ最初の彼女のライブに参加した時の事を覚えているよ。
あの時の感動は凄かったからね~」
「そ、そうなんですか・・・?」
「うん。
初参加のライブってのは一回きりだから今日は君もめいっぱい楽しんでね」
そのファンはそう言うと振り返って去ろうとした。
「待ってください!」
妙はつい呼び止めてしまった。
そのファンは振り返る。
「あの・・・
なんでわざわざ見ず知らずのボクに話しかけてくれたのですか・・・?」
昔は人見知りが激しかった妙。
今も初対面の人と話すのは決して得意ではない。
しかし、この人には聞いてみたくなったのだ。
「そりゃ、ここにいるならアリスちゃんが好きだって事でしょ?
それなら同じファン同士、
交流してみるのもいいんじゃないかと思ったんだ。
まあ俺が馴れ馴れしいってのもあるんだけどね。
なんか君が一人で彼らを見てて、どこかさみしそうだったから声をかけたんだ。
でもまあ、
知らない俺みたいなオタク丸出しの人に声かけられても反応に困るよね。
迷惑かな、と思ったから話を切り上げさせてもらったんだけど」
「そうでしたか・・・あの・・・決して迷惑ではなかったですよ。
でもボク人見知りなんでこういう反応しかできなかったんです。
ごめんなさい」
「いやいや、謝らないでよ。俺そういうの気にしないから」
「ありがとうございます。
皆さんがどんな気持ちでライブに参加しているのかわかった気がします」
「それは何より。それじゃあ君も楽しんでね。
それでまたイベントに来てね・・・って俺が言う事じゃないか」
「「あはははは」」
二人は笑い合った。
「それじゃあボクはこれで。お引止めしてすみませんでした」
「気にしないで。それじゃあ」
妙はそのファンと別れ楽屋に戻った。
・・・
ライブは時間通り始まった。演目に合わせて歌を歌っていく妙。
曲に合わせて各々の形で楽しむファンの人達。
ある者は聞き入り、ある者はペンライトを振ったりしている。
しかし全ての人に共通している事があった。 それは全員笑顔だという事。
自分のパフォーマンスでこんなにもたくさんの人達を笑顔にできる。
そして遂に最後の曲になった。イントロが始まりメロディーが流れ出す。
自分を応援してくれる最高のファン達へ向けるメッセージソング。
ファンは終始笑顔だった。そして最後のMCに入る。
「今日はわたしのバースデーライブに来てくれて本当にありがとう。
実は今日は私から重大発表があります!」
「おお~?」
ファンはその言葉にテンションが上がる。
「実は・・・最近わたしには悩みがありました。
それは、この声優業を続けていく事です」
「な、なんだって・・・」
「そ、そんな・・・」
その言葉を受けて会場がざわつく。
「実は・・・本当は今日のライブで引退宣言をするはずでした」
そしてこの言葉で一瞬で会場が静まり返る。
「わたし、実は昼間の物販の様子を見ていました。
これでこの仕事も最後なんだと思いながら・・・
そしたら声をかけられました。その人はファンの方で・・・
わたしがライブに初参加で、知り合いがいないのかなと思い、
ファンの人達を寂しそうに見ていたわたしが気になって声をかけてくれたようです。
そしてご自分の事を話してくれて、
一番最初に参加したライブを今でも覚えていると言ってくれました。
あの時の感動は忘れられないと・・・
もう6年も昔のライブを覚えていてくれている人がいて、
逆に私が感動しました。
そして今日ステージから皆さんを見ていて、
皆さん終始笑顔で心から楽しんでくれている事が伝わってきました。
これからもみんなの笑顔を見続けていたい、そう思いました。
そしてこんなにたくさんの方の笑顔を見れるのは、
この職業しかないと改めて認識しました。
なので、わたし茅場樹アリスはまだこの職業を続けます。
皆さん、これからもどうか茅場樹アリスをよろしくお願いしますっ」
そう言って妙は深く頭を下げた。
そんな妙をファンは本日最大の拍手で包んだのだった。
・・・
「どうだった?」
中ノ島妙は目の前にいる香住純に感想を求めた。
「・・・想像がつかん」
「ええ~ひど~い」
「じゃあ妙はそんなたくさんの人前に出て歌ったりできるのか?」
純は思った事を直接伝える。
「そ、それは・・・無理だけど・・・」
「でも、よくそんなにはっきりと覚えていたな。
夢なんて俺は覚えていた事ないけど」
「わたしもだいたいそうなんだけど、
昨晩見たこの夢だけは鮮明に覚えてたんだよね~」
「不思議な事もあるもんだな。
妙にはあまりに接点がなさそうな事ばかりなのにな。
アイドル声優で、何年も人前で歌を歌ってるなんて」
「確かにわたしが人前で歌を歌うなんて想像できないもんね。
ブラスバンドの演奏とかならまだしも。
でも夢って何か意味があるって言うよね。
実は昔小さい頃アニメを見てた時に、アニメに出てくるアイドルを見て、
あんな風になりたいなって思った事あったんだ。
もしかしたらその時の気持ちがあの夢を見させたのかも」
「まあ、夢だし深く考える必要はないだろ」
「そうだね」
二人は納得した。
「ねぇ、ジュン君・・・」
「なんだ?」
「わたし達にはあんなにたくさんのファンの人はいないけど、
わたし達の演奏で笑顔になってくれてる人は・・・いるよね・・・?」
「ああ。
俺達は俺達の方法で人々を笑顔にできるよう、がんばろう」
「うん・・・」
「それじゃあそろそろ劇団に行こうか」
そういって純は立ち上がる。
「はい」
妙も笑顔で続いた。そして二人は練習場所に向かったのだった。
Fin
ファイルの日付見たら2010年に書いてたみたいです。
もう痛すぎる><
完全に黒歴史だ・・・
茅場樹アリスはローマ字にして並べ替えると…
ということです。
こんなSSでも楽しんでくれる人はいるのだろうか・・・
とりあえず次は週末にでも別のSSをうpしたいと思います~
それではまた~
以前書いたSSをうpしたいと思います~
あ、でもこの妙の話は俺の欲望丸出しだったはず……
ゆいにゃんファンは読まない方がいいかも。
ゆいにゃんファンで気分悪くした方いらっしゃったらすみません。
それでは本編へどうぞ
『ユメユメウタガウコトナカレ・・・ユメミルコドモのユメノユメ・・・』
「わぁぁぁ!」
ホール内が暗転すると大きな歓声があがった。 ここはとあるコンサート会場。
普段はブラスバンドの演奏会などが催される会場だ。
しかし本日はブラスバンドによる演奏会が行われるわけではない。
では何に使われるのか? それは・・・
中ノ島妙のワンマンライブである!
・・・
中ノ島妙は今をときめく超人気声優である。声優名は茅場樹アリス。
自分と同じ年くらいの少女から、年下、年上といった女性はもちろん、
男性の役や、人間ではない生物まで演じる。
その演技力の高さは、人々を魅了していった。
しかも彼女の才能はそれだけではない。
とある作品で歌を歌ったところ、その歌唱力も人並みはずれていることがわかる。
その後数々のゲームやアニメの曲を歌うようになる。
その曲数は数百曲にも及び、ファンでも全ての曲を把握しているのはごく一部である。
今日はそんな彼女の誕生日を祝うライブが行われるのだ。
会場には開演4時間以上前にも関わらず既にたくさんのファンがつめかけている。
会場限定のグッツを買うためである。
「よっしゃ~!アリスちゃんのサイン入りポスター手に入れたぜ!」
「俺、グッツ全部買っちゃったよ!ああ、アリスちゃんマジかわいいよな~」
「ああ、まさに俺達の天使!俺、アリスちゃんに一生着いていく!」
「お前それ聞きようによっては危ない人だぜ?
まあでも俺もアリスちゃんをいつまでも応援し続けるけどな!」
グッツを手に入れたファン達は熱く各々の想いを語り合っている。
その様子を中ノ島妙は変装して柱の影からこっそり覗いていた。
男装に帽子、サングラスに服をかなり着込み、
体系で女性だとばれないようにするという徹底ぶり。
それでも用心には用心を重ね極力目立たないところから見ていた。
しかし・・・
ポン!
後ろから肩を叩かれた。
(ひゃう!)
びっくりしてつい声が出そうになったがなんとか堪えることができた。
恐る恐る振りかえると見知らぬ人がいた。恐らくファンの人と思われる。
「ねえこんなところで何してるの?」
「あ、あのわた・・・ボクは・・・」
咄嗟に、男性キャラを演じる時に使った声を再現する。
「こんなところで待ち合わせとも思えないしもしかして一人?」
「あ、はい・・・」
「そっか~あ、もしかしてアリスちゃんのライブは初めて?」
「え、え~と」
「ああ、いいよ、反応でわかったから。そっか~初参加か~」
そのファンは戸惑いながら話している妙を見て初参加だと判断したようだ。
「懐かしいなぁ。
俺も彼女のファンになってもう6年位になるんだけど、
まだ最初の彼女のライブに参加した時の事を覚えているよ。
あの時の感動は凄かったからね~」
「そ、そうなんですか・・・?」
「うん。
初参加のライブってのは一回きりだから今日は君もめいっぱい楽しんでね」
そのファンはそう言うと振り返って去ろうとした。
「待ってください!」
妙はつい呼び止めてしまった。
そのファンは振り返る。
「あの・・・
なんでわざわざ見ず知らずのボクに話しかけてくれたのですか・・・?」
昔は人見知りが激しかった妙。
今も初対面の人と話すのは決して得意ではない。
しかし、この人には聞いてみたくなったのだ。
「そりゃ、ここにいるならアリスちゃんが好きだって事でしょ?
それなら同じファン同士、
交流してみるのもいいんじゃないかと思ったんだ。
まあ俺が馴れ馴れしいってのもあるんだけどね。
なんか君が一人で彼らを見てて、どこかさみしそうだったから声をかけたんだ。
でもまあ、
知らない俺みたいなオタク丸出しの人に声かけられても反応に困るよね。
迷惑かな、と思ったから話を切り上げさせてもらったんだけど」
「そうでしたか・・・あの・・・決して迷惑ではなかったですよ。
でもボク人見知りなんでこういう反応しかできなかったんです。
ごめんなさい」
「いやいや、謝らないでよ。俺そういうの気にしないから」
「ありがとうございます。
皆さんがどんな気持ちでライブに参加しているのかわかった気がします」
「それは何より。それじゃあ君も楽しんでね。
それでまたイベントに来てね・・・って俺が言う事じゃないか」
「「あはははは」」
二人は笑い合った。
「それじゃあボクはこれで。お引止めしてすみませんでした」
「気にしないで。それじゃあ」
妙はそのファンと別れ楽屋に戻った。
・・・
ライブは時間通り始まった。演目に合わせて歌を歌っていく妙。
曲に合わせて各々の形で楽しむファンの人達。
ある者は聞き入り、ある者はペンライトを振ったりしている。
しかし全ての人に共通している事があった。 それは全員笑顔だという事。
自分のパフォーマンスでこんなにもたくさんの人達を笑顔にできる。
そして遂に最後の曲になった。イントロが始まりメロディーが流れ出す。
自分を応援してくれる最高のファン達へ向けるメッセージソング。
ファンは終始笑顔だった。そして最後のMCに入る。
「今日はわたしのバースデーライブに来てくれて本当にありがとう。
実は今日は私から重大発表があります!」
「おお~?」
ファンはその言葉にテンションが上がる。
「実は・・・最近わたしには悩みがありました。
それは、この声優業を続けていく事です」
「な、なんだって・・・」
「そ、そんな・・・」
その言葉を受けて会場がざわつく。
「実は・・・本当は今日のライブで引退宣言をするはずでした」
そしてこの言葉で一瞬で会場が静まり返る。
「わたし、実は昼間の物販の様子を見ていました。
これでこの仕事も最後なんだと思いながら・・・
そしたら声をかけられました。その人はファンの方で・・・
わたしがライブに初参加で、知り合いがいないのかなと思い、
ファンの人達を寂しそうに見ていたわたしが気になって声をかけてくれたようです。
そしてご自分の事を話してくれて、
一番最初に参加したライブを今でも覚えていると言ってくれました。
あの時の感動は忘れられないと・・・
もう6年も昔のライブを覚えていてくれている人がいて、
逆に私が感動しました。
そして今日ステージから皆さんを見ていて、
皆さん終始笑顔で心から楽しんでくれている事が伝わってきました。
これからもみんなの笑顔を見続けていたい、そう思いました。
そしてこんなにたくさんの方の笑顔を見れるのは、
この職業しかないと改めて認識しました。
なので、わたし茅場樹アリスはまだこの職業を続けます。
皆さん、これからもどうか茅場樹アリスをよろしくお願いしますっ」
そう言って妙は深く頭を下げた。
そんな妙をファンは本日最大の拍手で包んだのだった。
・・・
「どうだった?」
中ノ島妙は目の前にいる香住純に感想を求めた。
「・・・想像がつかん」
「ええ~ひど~い」
「じゃあ妙はそんなたくさんの人前に出て歌ったりできるのか?」
純は思った事を直接伝える。
「そ、それは・・・無理だけど・・・」
「でも、よくそんなにはっきりと覚えていたな。
夢なんて俺は覚えていた事ないけど」
「わたしもだいたいそうなんだけど、
昨晩見たこの夢だけは鮮明に覚えてたんだよね~」
「不思議な事もあるもんだな。
妙にはあまりに接点がなさそうな事ばかりなのにな。
アイドル声優で、何年も人前で歌を歌ってるなんて」
「確かにわたしが人前で歌を歌うなんて想像できないもんね。
ブラスバンドの演奏とかならまだしも。
でも夢って何か意味があるって言うよね。
実は昔小さい頃アニメを見てた時に、アニメに出てくるアイドルを見て、
あんな風になりたいなって思った事あったんだ。
もしかしたらその時の気持ちがあの夢を見させたのかも」
「まあ、夢だし深く考える必要はないだろ」
「そうだね」
二人は納得した。
「ねぇ、ジュン君・・・」
「なんだ?」
「わたし達にはあんなにたくさんのファンの人はいないけど、
わたし達の演奏で笑顔になってくれてる人は・・・いるよね・・・?」
「ああ。
俺達は俺達の方法で人々を笑顔にできるよう、がんばろう」
「うん・・・」
「それじゃあそろそろ劇団に行こうか」
そういって純は立ち上がる。
「はい」
妙も笑顔で続いた。そして二人は練習場所に向かったのだった。
Fin
ファイルの日付見たら2010年に書いてたみたいです。
もう痛すぎる><
完全に黒歴史だ・・・
茅場樹アリスはローマ字にして並べ替えると…
ということです。
こんなSSでも楽しんでくれる人はいるのだろうか・・・
とりあえず次は週末にでも別のSSをうpしたいと思います~
それではまた~