【復刻SS】のーぶる☆わーくす×緋弾のアリア
- 2016/12/25
- 23:44
「ちくしょう・・・ちくしょう・・・!」
イ・ウーを退学になったあたしは悔し涙を浮かべながらおぼつかない足
取りで歩いていた。
ハイジャック事件で遠山キンジと神埼・H・アリアを倒すことができなか
ったあたし、峰理子はイ・ウーを退学になった。
しかし涙を浮かべてる理由はそれだけではない。
あの二人を倒せなかったという理由であたしは命の次に大切な十字架を
奪われた。
もちろん取り戻そうとした。
しかし相手はイ・ウーでNo.2を誇る実力者。
まったく歯が立たなかった。
十字架を取り戻すことができずイ・ウーを退学になったあたしは内面も
外面もボロボロの状態で町を歩いていた。
イ・ウーのNo.2との戦いで負ったダメージは相当なものだったらしい。
意識が途切れ始めた。
もう立っているのも辛い。
電柱によりかかり休もうとするがそれでも回復しない。
「こ、こんなところで・・・あたしは・・・」
あたしの意識はそこで途切れた。
「はっ」
目を覚ますとあたしは見覚えのない部屋にいた。
「ここは・・・」
上半身を起こし見回すとかなり大きな部屋だった。
そうしているとドアがノックされた。
「あ、はい」
あたしが返事をすると部屋のドアが開いて二人の女性が入ってきた。
「目が覚めたみたいね」
「あなたは・・・!」
「久しぶり。年末以来ね」
「どうしてあなたが・・・?」
「瀬名が倒れてるあなたを偶然発見してうちに連れてきたのよ。
あ、瀬名はわかるかしら?」
「ええ、わかります。年末にお話させていただきましたから」
「あの子うちで働いててね。
それで知らない人でもないし、うちが近かったからとりあえず連れてく
る事にしたみたい。
うちだったら医療器具もあるし」
「そうでしたか・・・」
「それにしても何があったの?
捻挫や打撲がかなりあったって聞いてるけど・・・」
「そうだ・・・あたしは寝てる暇なんて・・・うっ・・・」
「無理しないで。
いくら治療したからってすぐによくなるわけじゃないわ」
「で、でも・・・」
「灯里様」
あたしが灯里さんと話していると灯里さんと一緒に部屋に入ってきた眼
鏡をかけたメイドさんが口を開いた。
「そろそろ学園に行かれるお時間です。
りこりんさんの事は後はワタシにお任せください」
「もうそんな時間?
しかたないわね。それじゃあ茅明よろしく。
りこりんさん怪我のほうお大事に」
そう言うと灯里さんは部屋を出て行った。
そしてメイドさんと二人きりになった。
灯里さんを見送ると茅明と呼ばれたメイドさんが今度はあたしに話しか
けてきた。
「自己紹介が遅くなりました。
ワタシは兼元家でメイド長を勤めさせていただいております源茅明と申
します」
「あ、ご丁寧にどうも。峰理子と申します」
あたしも自己紹介をする。
「存知あげております。
失礼ながら調べさせていただいたので。
峰・理子・リュパン4世様」
この名前を知っているのはごく一握りの人間だけだ。
あたしは表情を変えた。
「あなた、まさか・・・」
「そう睨み付けないで下さい。危害を加えるつもりはありません。
ワタシはあの組織の人間ではありません。
あの組織に深く関われば私もただではすみませんし。
それよりも今ワタシがお話したいことは司法取引の件です」
「司法取引?」
「はい。貴方様がおこしたハイジャック事件は司法取引で済ます事にな
っております。理由を説明する必要はありませんね?」
イ・ウーのメンバーが関わった事件は全て真実は報道されない。
あたしはイ・ウーを退学になったが、事件を起こした時はイ・ウーのメ
ンバーだったからそういう事にされるのか。
「それであたしに何をしろと?」
「そうですね・・・
その怪我では実働していただくわけにもいきませんし・・・
そういえば理子様は衣装のデザインをされているようですね。
実は近々兼元グループの関連会社が開催するコスプレコンテストがある
のですが、そのコンテストで使用する衣装のデザインを考えていただ
く、というのはいかがでしょうか?」
「大丈夫です。指定などはありますか?」
「『萌え』をテーマにした衣装でしたら、未発表の作品という条件のみ
で、特に細かい指定はありません」
「わかりました」
「時間はまだだいぶありますからごゆっくりお考えになってください。
それではワタシはこれにて失礼させていただきます。
何かありましたら気兼ねなくお呼び下さい」
そう言うと一礼してメイド長さんは出て行った。
少しするとまたドアがノックされた。
返事をすると今度は胸のとても大きい美少女メイドさんが入ってきた。
「失礼します。りこりん先生お怪我は大丈夫ですか・・・?」
「大丈夫・・・と言いたいところだけど・・・まだちょっと厳しいか
な・・・それよりあなたがあたしを見つけてくれたんだってね。
さっき源さんから聞いたよ。理子を助けてくれて本当にありがとう」
あたしがお礼を言って深く頭を下げると彼女は赤くなって首を振った。
「そ、そんな!当たり前の事をしただけですし・・・!
でもまさかこんな形でりこりん先生と再開するなんて・・・
あ、そういえば冬コミでは自己紹介をしてませんでしたね。
ここ兼元家でメイドをしております、月山瀬名と申します」
「あ、あたし本名は峰理子って言うんだ。今後ともよろしくね。
後その先生ってのやめてくれない?ちょっと恥ずかしいんだ」
「わかりました。では理子さんって呼ばせていただきますね。
あ、それから理子さん衣装のデザインをされていらっしゃるんですよ
ね? スケッチブックと筆記用具をお持ちしましたが、パソコンでデザイ
ンはされますか?」
「あ、ううん、アナログで大丈夫。ありがとうね」
あたしはスケッチブックと筆記用具を受け取る。
「他に何か必要な物があったら言ってくださいね。
大抵のものでしたらご用意できますので。
それじゃあ、わたしお邪魔になっちゃわるいですから失礼しますね」
「ううん、そんなことないよ。
瀬名ちゃんみたいなかわいい女の子は見てるだけで癒されるよ。
むしろあたしの方がお世話になってお仕事の量増やしちゃって申し訳な
いくらいだよ」
「お心遣いありがとうございます。
でもお仕事がありますので。
また食事ができた時にお伺いします。
それでは失礼します」
「うん、気が向いたらいつでも来てもらって大丈夫だからね」
「はい」
そう言うと瀬名ちゃんは部屋を出て行った。
「さてと、それじゃああたしも自分の仕事をしますか~」
あたしはコスプレ衣装のデザインを考えはじめた。
数日が経過した。
あたしの怪我はすっかり完治していた。
又、仕事も順調に進みほぼ全ての衣装のデザインを完成させていた。
しかしどうも一つだけ違和感が残る。
(何か足りない気がするんだよな~)
そんな事を考えていたある日、灯里さんがお客様を連れてきた。
連れてこられたのは美少女。
その美少女は目を輝かせている。
そんな彼女を灯里さんが紹介しはじめた。
「理子さん、こちら私と同じ学園に通っている三条真琴さん。
兼元家と三条家は業務提携しててね、真琴さんとはお互い知り合いな
の。学年はあなたと同じ2年生。
デザイナーを目指していて、理子さんが今うちに居る事を話したらどう
しても一度お会いしたいと言われちゃってね。お連れしたの」
「はじめまして。三条真琴と申します。
先生の事は様々な雑誌でよく拝見させていただいてます。
あたしも灯里さんの紹介にもあったようにデザイナーを目指しておりま
す。 お会いできて光栄です」
「あ、どうもありがとうございます。峰理子と申します。
こないだNOBLEでインタビューされていた方ですよね?
あたしこそお会いできてうれしいです」
「あ、見ていただけてたんですか。
ちょっと恥ずかしいです」
「いえいえ、素晴らしいセンスだと思いますよ~」
あたし達がお互いを褒めあっていると灯里さんが笑った。
「お互い同い年同士なんだし敬語じゃなくていいんじゃない?」
「そうですね。
でも初対面の方にいきなりタメ口というのもどうかと思いましたので。
じゃあここからは敬語は無しって事でよろしいですか?」
「ええ。後『先生』っていうのもちょっと恥ずかしいのでお互い名前で
呼びません?」
瀬名さんに提案し、他のこの家に住んでいる同世代の方々には名前で呼
んでもらうことにしたのだけど外部の方には伝わっていなかったような
のであたしは改めて提案した。
「あ、わかりました。ところで今は何をされているんです?」
「今度灯里さんの家の関連会社がコンテストを開催するようで、
そのコンテスト用の衣装つくりのデザインをしてるんだ」
真琴さんは敬語になってしまっているがあたしはあえて触れずにフラン
クに返した。
それが功をなし敬語が直ったようだ。
「ああ、あのコスプレの~」
「そうそう。
実はもうほぼ衣装のデザインは完成してるんだけど、
この衣装だけ何か足りない気がするんだよね~
あ、これデザインしたものなんだけど・・・」
あたしが真琴さんと灯里さんにデザインした紙を見せる。
「どれどれ・・・あ、じゃあ・・・」
あたし達は意見を出し合った。
・・・
・・・
・・・
「完成~」
「「おめでとう!」」
二人が完成を祝福してくれる。
「真琴ちゃんのアクセのおかげでしこりがとれたよ~
二人とも本当ありがとう!」
あたしが二人の手を握る。
いつの間にかあたし達は仲良しになっていた。
数日後サンプルが完成した。
あたしはそのチェックをし、問題がないことを確認した。
さすがは兼元グループ。
細部まで完璧な出来だった。
そしてチェックを終え、茅明さんに最後にどの衣装をどの方に着ていた
だきたいという希望があるかどうかを聞かれたのであたしは最後にでき
たあの衣装は真琴ちゃんに着てもらいたいという事を伝え、あたしの仕
事は終了した。
仕事が終わったらあたしがここにいる理由はない。
お別れの時はあっと言う間に来た。
灯里さん達が新幹線の駅で見送ってくれている。
「もうお別れなんてさみしいです・・・」
瀬名さんが気を落としてしている。
「そんなしょんぼりしないで。
またこっちに来ることがあったら連絡するし、
イベントとかで会えるでしょ?」
「そうですね・・・」
「もう、瀬名ったら。ほら、お別れのときは笑顔!」
灯里さんに言われ笑顔とまではいかないまでも努力する瀬名さん。
「それじゃあ皆さん短い間でしたがお世話になりました。
またどこかイベントか、こっちに来ることがあったらご連絡します。
今までありがとうございました」
あたしは一礼して新幹線の改札を通った。
あたしは新幹線の中で十字架を取り返す方法を考えていた。
あたし一人では悔しいけれど絶対に無理。
あの二人を利用するしかないか・・・
じゃあまずは・・・
あたしは東京武偵高の女子寮に戻ってきた。
タイミング良く宅配便が届く。
それを受け取る私。
あたしはその中身を確認すると受話器をとった。
Fin
ギリギリメリクリ間に合ったかな?
クリスマスということで何のSSにしようか悩んだのですが、
そういえばアリアって毎年この時期に刊行しており、
今年も例に漏れずアリア24巻が発売したということで、
発売を記念しこの作品をチョイスしました。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
ではでは~
イ・ウーを退学になったあたしは悔し涙を浮かべながらおぼつかない足
取りで歩いていた。
ハイジャック事件で遠山キンジと神埼・H・アリアを倒すことができなか
ったあたし、峰理子はイ・ウーを退学になった。
しかし涙を浮かべてる理由はそれだけではない。
あの二人を倒せなかったという理由であたしは命の次に大切な十字架を
奪われた。
もちろん取り戻そうとした。
しかし相手はイ・ウーでNo.2を誇る実力者。
まったく歯が立たなかった。
十字架を取り戻すことができずイ・ウーを退学になったあたしは内面も
外面もボロボロの状態で町を歩いていた。
イ・ウーのNo.2との戦いで負ったダメージは相当なものだったらしい。
意識が途切れ始めた。
もう立っているのも辛い。
電柱によりかかり休もうとするがそれでも回復しない。
「こ、こんなところで・・・あたしは・・・」
あたしの意識はそこで途切れた。
「はっ」
目を覚ますとあたしは見覚えのない部屋にいた。
「ここは・・・」
上半身を起こし見回すとかなり大きな部屋だった。
そうしているとドアがノックされた。
「あ、はい」
あたしが返事をすると部屋のドアが開いて二人の女性が入ってきた。
「目が覚めたみたいね」
「あなたは・・・!」
「久しぶり。年末以来ね」
「どうしてあなたが・・・?」
「瀬名が倒れてるあなたを偶然発見してうちに連れてきたのよ。
あ、瀬名はわかるかしら?」
「ええ、わかります。年末にお話させていただきましたから」
「あの子うちで働いててね。
それで知らない人でもないし、うちが近かったからとりあえず連れてく
る事にしたみたい。
うちだったら医療器具もあるし」
「そうでしたか・・・」
「それにしても何があったの?
捻挫や打撲がかなりあったって聞いてるけど・・・」
「そうだ・・・あたしは寝てる暇なんて・・・うっ・・・」
「無理しないで。
いくら治療したからってすぐによくなるわけじゃないわ」
「で、でも・・・」
「灯里様」
あたしが灯里さんと話していると灯里さんと一緒に部屋に入ってきた眼
鏡をかけたメイドさんが口を開いた。
「そろそろ学園に行かれるお時間です。
りこりんさんの事は後はワタシにお任せください」
「もうそんな時間?
しかたないわね。それじゃあ茅明よろしく。
りこりんさん怪我のほうお大事に」
そう言うと灯里さんは部屋を出て行った。
そしてメイドさんと二人きりになった。
灯里さんを見送ると茅明と呼ばれたメイドさんが今度はあたしに話しか
けてきた。
「自己紹介が遅くなりました。
ワタシは兼元家でメイド長を勤めさせていただいております源茅明と申
します」
「あ、ご丁寧にどうも。峰理子と申します」
あたしも自己紹介をする。
「存知あげております。
失礼ながら調べさせていただいたので。
峰・理子・リュパン4世様」
この名前を知っているのはごく一握りの人間だけだ。
あたしは表情を変えた。
「あなた、まさか・・・」
「そう睨み付けないで下さい。危害を加えるつもりはありません。
ワタシはあの組織の人間ではありません。
あの組織に深く関われば私もただではすみませんし。
それよりも今ワタシがお話したいことは司法取引の件です」
「司法取引?」
「はい。貴方様がおこしたハイジャック事件は司法取引で済ます事にな
っております。理由を説明する必要はありませんね?」
イ・ウーのメンバーが関わった事件は全て真実は報道されない。
あたしはイ・ウーを退学になったが、事件を起こした時はイ・ウーのメ
ンバーだったからそういう事にされるのか。
「それであたしに何をしろと?」
「そうですね・・・
その怪我では実働していただくわけにもいきませんし・・・
そういえば理子様は衣装のデザインをされているようですね。
実は近々兼元グループの関連会社が開催するコスプレコンテストがある
のですが、そのコンテストで使用する衣装のデザインを考えていただ
く、というのはいかがでしょうか?」
「大丈夫です。指定などはありますか?」
「『萌え』をテーマにした衣装でしたら、未発表の作品という条件のみ
で、特に細かい指定はありません」
「わかりました」
「時間はまだだいぶありますからごゆっくりお考えになってください。
それではワタシはこれにて失礼させていただきます。
何かありましたら気兼ねなくお呼び下さい」
そう言うと一礼してメイド長さんは出て行った。
少しするとまたドアがノックされた。
返事をすると今度は胸のとても大きい美少女メイドさんが入ってきた。
「失礼します。りこりん先生お怪我は大丈夫ですか・・・?」
「大丈夫・・・と言いたいところだけど・・・まだちょっと厳しいか
な・・・それよりあなたがあたしを見つけてくれたんだってね。
さっき源さんから聞いたよ。理子を助けてくれて本当にありがとう」
あたしがお礼を言って深く頭を下げると彼女は赤くなって首を振った。
「そ、そんな!当たり前の事をしただけですし・・・!
でもまさかこんな形でりこりん先生と再開するなんて・・・
あ、そういえば冬コミでは自己紹介をしてませんでしたね。
ここ兼元家でメイドをしております、月山瀬名と申します」
「あ、あたし本名は峰理子って言うんだ。今後ともよろしくね。
後その先生ってのやめてくれない?ちょっと恥ずかしいんだ」
「わかりました。では理子さんって呼ばせていただきますね。
あ、それから理子さん衣装のデザインをされていらっしゃるんですよ
ね? スケッチブックと筆記用具をお持ちしましたが、パソコンでデザイ
ンはされますか?」
「あ、ううん、アナログで大丈夫。ありがとうね」
あたしはスケッチブックと筆記用具を受け取る。
「他に何か必要な物があったら言ってくださいね。
大抵のものでしたらご用意できますので。
それじゃあ、わたしお邪魔になっちゃわるいですから失礼しますね」
「ううん、そんなことないよ。
瀬名ちゃんみたいなかわいい女の子は見てるだけで癒されるよ。
むしろあたしの方がお世話になってお仕事の量増やしちゃって申し訳な
いくらいだよ」
「お心遣いありがとうございます。
でもお仕事がありますので。
また食事ができた時にお伺いします。
それでは失礼します」
「うん、気が向いたらいつでも来てもらって大丈夫だからね」
「はい」
そう言うと瀬名ちゃんは部屋を出て行った。
「さてと、それじゃああたしも自分の仕事をしますか~」
あたしはコスプレ衣装のデザインを考えはじめた。
数日が経過した。
あたしの怪我はすっかり完治していた。
又、仕事も順調に進みほぼ全ての衣装のデザインを完成させていた。
しかしどうも一つだけ違和感が残る。
(何か足りない気がするんだよな~)
そんな事を考えていたある日、灯里さんがお客様を連れてきた。
連れてこられたのは美少女。
その美少女は目を輝かせている。
そんな彼女を灯里さんが紹介しはじめた。
「理子さん、こちら私と同じ学園に通っている三条真琴さん。
兼元家と三条家は業務提携しててね、真琴さんとはお互い知り合いな
の。学年はあなたと同じ2年生。
デザイナーを目指していて、理子さんが今うちに居る事を話したらどう
しても一度お会いしたいと言われちゃってね。お連れしたの」
「はじめまして。三条真琴と申します。
先生の事は様々な雑誌でよく拝見させていただいてます。
あたしも灯里さんの紹介にもあったようにデザイナーを目指しておりま
す。 お会いできて光栄です」
「あ、どうもありがとうございます。峰理子と申します。
こないだNOBLEでインタビューされていた方ですよね?
あたしこそお会いできてうれしいです」
「あ、見ていただけてたんですか。
ちょっと恥ずかしいです」
「いえいえ、素晴らしいセンスだと思いますよ~」
あたし達がお互いを褒めあっていると灯里さんが笑った。
「お互い同い年同士なんだし敬語じゃなくていいんじゃない?」
「そうですね。
でも初対面の方にいきなりタメ口というのもどうかと思いましたので。
じゃあここからは敬語は無しって事でよろしいですか?」
「ええ。後『先生』っていうのもちょっと恥ずかしいのでお互い名前で
呼びません?」
瀬名さんに提案し、他のこの家に住んでいる同世代の方々には名前で呼
んでもらうことにしたのだけど外部の方には伝わっていなかったような
のであたしは改めて提案した。
「あ、わかりました。ところで今は何をされているんです?」
「今度灯里さんの家の関連会社がコンテストを開催するようで、
そのコンテスト用の衣装つくりのデザインをしてるんだ」
真琴さんは敬語になってしまっているがあたしはあえて触れずにフラン
クに返した。
それが功をなし敬語が直ったようだ。
「ああ、あのコスプレの~」
「そうそう。
実はもうほぼ衣装のデザインは完成してるんだけど、
この衣装だけ何か足りない気がするんだよね~
あ、これデザインしたものなんだけど・・・」
あたしが真琴さんと灯里さんにデザインした紙を見せる。
「どれどれ・・・あ、じゃあ・・・」
あたし達は意見を出し合った。
・・・
・・・
・・・
「完成~」
「「おめでとう!」」
二人が完成を祝福してくれる。
「真琴ちゃんのアクセのおかげでしこりがとれたよ~
二人とも本当ありがとう!」
あたしが二人の手を握る。
いつの間にかあたし達は仲良しになっていた。
数日後サンプルが完成した。
あたしはそのチェックをし、問題がないことを確認した。
さすがは兼元グループ。
細部まで完璧な出来だった。
そしてチェックを終え、茅明さんに最後にどの衣装をどの方に着ていた
だきたいという希望があるかどうかを聞かれたのであたしは最後にでき
たあの衣装は真琴ちゃんに着てもらいたいという事を伝え、あたしの仕
事は終了した。
仕事が終わったらあたしがここにいる理由はない。
お別れの時はあっと言う間に来た。
灯里さん達が新幹線の駅で見送ってくれている。
「もうお別れなんてさみしいです・・・」
瀬名さんが気を落としてしている。
「そんなしょんぼりしないで。
またこっちに来ることがあったら連絡するし、
イベントとかで会えるでしょ?」
「そうですね・・・」
「もう、瀬名ったら。ほら、お別れのときは笑顔!」
灯里さんに言われ笑顔とまではいかないまでも努力する瀬名さん。
「それじゃあ皆さん短い間でしたがお世話になりました。
またどこかイベントか、こっちに来ることがあったらご連絡します。
今までありがとうございました」
あたしは一礼して新幹線の改札を通った。
あたしは新幹線の中で十字架を取り返す方法を考えていた。
あたし一人では悔しいけれど絶対に無理。
あの二人を利用するしかないか・・・
じゃあまずは・・・
あたしは東京武偵高の女子寮に戻ってきた。
タイミング良く宅配便が届く。
それを受け取る私。
あたしはその中身を確認すると受話器をとった。
Fin
ギリギリメリクリ間に合ったかな?
クリスマスということで何のSSにしようか悩んだのですが、
そういえばアリアって毎年この時期に刊行しており、
今年も例に漏れずアリア24巻が発売したということで、
発売を記念しこの作品をチョイスしました。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
ではでは~