【復刻SS】海老原湊
- 2016/12/18
- 08:36
ぶらばん!SSまだ続くというね^^:
今回は番外編って感じかな。
なんといってもゲームで登場しないキャラだからね。
登場しているのは2006年に夏コミで販売されてた『ぶらばん!オフィシャルノベル「中ノ島妙/海老原みなせ」』という小説になります。
とまあ湊の解説はこれくらいにして本編どうぞ。
最初は大嫌いだった。
あたしの大好きなおねえちゃんを横取りしたあの男。
名前を香住純という。
あたしはおねえちゃんを取り戻したかった。
でもある日あたしはおねえちゃんの大切なトランペットを壊してしまった・・・
おねえちゃんに嫌われちゃう。
そう落ち込んでいた時にやってきたのがこの人だった。
その人はまるで魔法を使ったかのようにトランペットを直してしまった。
その一件以降あたしはこの人を見直したのでした。
楽器に興味を持ったあたしは楽器屋さんに来ていました。
「一、十、百、千・・・」
あたしはショーケースに飾られている楽器の値札を見てため息を出します。
「・・・全然足りない・・・」
あたしの財布にあるのは百円玉が3枚と十円玉が7枚。
お小遣いは月500円。
楽器を買うにはとてもじゃないけど足りませんでした。
「やっぱり、諦めるしかないのかな・・・」
店の値札の所に超特価!と大きく書かれているところから、
これでもかなり値引きされていることがわかります。
「はぁ」
改めてため息をついて店を後にしたあたしは、
おかあさんに言われた通り、八百屋さんに向かおうとしました。
すると見覚えのある顔が少し前を横切りました。
「あれ?
あの人は確かおねえちゃんの・・・」
そう、その人はおねえちゃんの彼氏の香住純さんだったのです。
しかし・・・
「・・・あの人は・・・誰だろう・・・?」
横にはおねえちゃんではなく、金髪の女の人がいます。
でもその人をあたしは知っていました。
以前おねえちゃんの学校に行った時、
会ったことがあるからです。
「確か・・・雲雀丘由貴さん・・・」
一度しか会ったことがありませんが、
かなり怖いイメージがあったので覚えていました。
「なんであの人が雲雀丘さんと一緒にいるんだろう・・・?」
あたしは無意識のうちに2人を追いかけてしまっていました。
二人がまず入ったのは楽器屋さんでした。
(ここは・・・さっきあたしが楽器を見ていた店?)
あたしはこっそりと店外から中を見回します。
すると二人が話し合っていました。
見つかるわけにはいかないのであたしは店の外から様子を伺います。
すると店員の人がやってきてそこに加わりました。
5分ほど話した後店員さんが頭を下げ、
二人は出入り口に向かってきました。
「あ、出てくる!」
あたしは咄嗟に電柱の影に隠れました。
二人はあたしに気が付いた様子もなく歩いて行きます。
あたしは尾行を再開しました。
次に二人は喫茶店に入っていきました。
二人は席に着き、かなり真剣な表情で話しています。
「う~やっぱり外からだと何話しているのか聞こえないよ・・・」
そう思いつつ外から眺めていると飲み物が持ってこられました。
「そういえば喉かわいたな。
おかあさんから言われているのは大根だけだし、
あたしも何か飲もう」
そう思い、自販機を探そうと思いましたが・・・
「はっ!これじゃあいつまで経ってもお金溜まらないよ。
我慢、我慢」
あたしは誘惑を断ち切り再度二人の様子を見始めます。
(それにしても雲雀丘さんの胸大きいなぁ。
あたしも雲雀丘さんくらいの年になったらあれくらい大きくなるかな?)
そんな事を思いつつあたしは自分の胸を見下ろします。
その瞬間店の中から音が聞こえました。
ちょっと驚いて店の中を見ると、
純さんが雲雀丘さんの両手を握っています。
雲雀丘さんはかなり顔が赤くなっています。
(やっぱりあの人おねえちゃんとは遊びだったんだ!
こないだちょっと見直したけど、もう騙されないんだからっ)
あたしはそう改めて思い直しました。
しばらくすると二人は喫茶店を出てきてまた歩き出します。
そして少し歩くと、十字路で二人は別れました。
(一人になった!さっきの事問い詰めてやるんだから!)
あたしはそう思い、声をかけようとしましたが、
すぐ近くのゲームセンターにあの人は入ってしまったので、
あたしもその店に入りました。
しかし・・・
「おっと、お譲ちゃん。ちょっと待って」
いきなり声を掛けられてしまいびっくりするあたし。
「あぅっ!?」
「ごめんね。
もう6時だからお譲ちゃんくらいの子はこの店には入れないんだ」
「え、でも・・・」
「ごめんね。
でもそういうルールだからわかってね」
「そ、そんな・・・」
あたしが泣きそうになっていると声を掛けてきた人がいました。
「あれ?湊ちゃん?」
その人はあたしが追いかけていた人物でした。
「~~~」
帰り道。
あたしは恥ずかしさで赤くなりながら純さんと一緒に家に帰ります。
「いやぁ、でもまさか湊ちゃんに見られていたとはなぁ」
純さんは苦笑します。
・・・
・・・
・・・
あの後ゲームセンターを出たあたしはさっきの出来事を問い詰めたのでした。
「このドロボウ猫!やっぱりおねえちゃんとは遊びだったんだ!」
「何の事?」
「とぼけても無駄よ!
さっきあなたが雲雀丘さんの手を握ったのこの目で見たんだから!」
「ああ、あれか。
いやぁあまりに嬉しすぎてね。
つい大胆な行動しちゃったんだ。
でも雲雀丘さんにはちゃんと謝ったよ?」
「他に謝る人がいるでしょ!?」
そう言ってるとその握られた本人に声を掛けられました。
「何をしているのです?」
「「雲雀丘さん」」
・・・
・・・
・・・
「いやぁ、でもまだ雲雀丘さんがあの近くにいて助かったよ。
俺一人じゃ湊ちゃん絶対納得させられなかっただろうし」
「うぅ・・・
でもあんな光景見たら誰だってそう思うよ・・・」
「それも・・・そうだね。
まあとにかく誤解が解けてよかったよ」
雲雀丘さんがやってきていきさつを聞いたあたしはやっと納得したのでした。
そして頼まれていた八百屋さんでお買い物をして帰ってきました。
「さぁ、着いた」
そう話していると家に着いてしまいました。
あたしは一応送ってくれたお礼を言います。
「・・・送ってくれて・・・ありがとう・・・」
「うん。
湊ちゃんもおつかい偉かったね」
純さんは笑顔になります。
そしてあたしの頭を撫でてくれました。
つい顔が緩んでしまいます。
「あ・・・」
「あっと、ごめんこういうの嫌かな?」
「あ、ううん。
・・・そんなことない・・・」
「そっか、よかった。
それじゃあ俺は帰るね」
「あがっていかないの?」
「もうすぐ文化祭があるからね。
その為の準備とか練習が忙しいんだ」
「そっか・・・
じゃあそれが終わったらまた・・・来る・・・?」
「そうだね。
それじゃあまたね、湊ちゃん」
「うん、バイバイ・・・」
純さんは笑顔で手を振ると去っていきます。
その後姿をあたしは見送ります。
そして自分の気持ちにはっきりと気が付いたことを後悔します。
「なんで・・・好きになっちゃたんだろう・・・」
でもこの恋は実らない恋。
あたしは苦笑しながら家に入りました。
「ただいま~」
Fin
以上です~
なんで主人公が由貴の手を握ったのかは恐らく文化祭の出し物の事で悩んでいたけど、それの解決案を貰ったからだったという設定だった気がする・・・
このSSはこないだのみなせの誕生日に公開したSSに繋がるSSになります。
楽しんでいただけていたら幸いです。
来週からは別作品のゆずソフトさんの作品のSSを公開していきますのでよろしければまたご覧下さい
今回は番外編って感じかな。
なんといってもゲームで登場しないキャラだからね。
登場しているのは2006年に夏コミで販売されてた『ぶらばん!オフィシャルノベル「中ノ島妙/海老原みなせ」』という小説になります。
とまあ湊の解説はこれくらいにして本編どうぞ。
最初は大嫌いだった。
あたしの大好きなおねえちゃんを横取りしたあの男。
名前を香住純という。
あたしはおねえちゃんを取り戻したかった。
でもある日あたしはおねえちゃんの大切なトランペットを壊してしまった・・・
おねえちゃんに嫌われちゃう。
そう落ち込んでいた時にやってきたのがこの人だった。
その人はまるで魔法を使ったかのようにトランペットを直してしまった。
その一件以降あたしはこの人を見直したのでした。
楽器に興味を持ったあたしは楽器屋さんに来ていました。
「一、十、百、千・・・」
あたしはショーケースに飾られている楽器の値札を見てため息を出します。
「・・・全然足りない・・・」
あたしの財布にあるのは百円玉が3枚と十円玉が7枚。
お小遣いは月500円。
楽器を買うにはとてもじゃないけど足りませんでした。
「やっぱり、諦めるしかないのかな・・・」
店の値札の所に超特価!と大きく書かれているところから、
これでもかなり値引きされていることがわかります。
「はぁ」
改めてため息をついて店を後にしたあたしは、
おかあさんに言われた通り、八百屋さんに向かおうとしました。
すると見覚えのある顔が少し前を横切りました。
「あれ?
あの人は確かおねえちゃんの・・・」
そう、その人はおねえちゃんの彼氏の香住純さんだったのです。
しかし・・・
「・・・あの人は・・・誰だろう・・・?」
横にはおねえちゃんではなく、金髪の女の人がいます。
でもその人をあたしは知っていました。
以前おねえちゃんの学校に行った時、
会ったことがあるからです。
「確か・・・雲雀丘由貴さん・・・」
一度しか会ったことがありませんが、
かなり怖いイメージがあったので覚えていました。
「なんであの人が雲雀丘さんと一緒にいるんだろう・・・?」
あたしは無意識のうちに2人を追いかけてしまっていました。
二人がまず入ったのは楽器屋さんでした。
(ここは・・・さっきあたしが楽器を見ていた店?)
あたしはこっそりと店外から中を見回します。
すると二人が話し合っていました。
見つかるわけにはいかないのであたしは店の外から様子を伺います。
すると店員の人がやってきてそこに加わりました。
5分ほど話した後店員さんが頭を下げ、
二人は出入り口に向かってきました。
「あ、出てくる!」
あたしは咄嗟に電柱の影に隠れました。
二人はあたしに気が付いた様子もなく歩いて行きます。
あたしは尾行を再開しました。
次に二人は喫茶店に入っていきました。
二人は席に着き、かなり真剣な表情で話しています。
「う~やっぱり外からだと何話しているのか聞こえないよ・・・」
そう思いつつ外から眺めていると飲み物が持ってこられました。
「そういえば喉かわいたな。
おかあさんから言われているのは大根だけだし、
あたしも何か飲もう」
そう思い、自販機を探そうと思いましたが・・・
「はっ!これじゃあいつまで経ってもお金溜まらないよ。
我慢、我慢」
あたしは誘惑を断ち切り再度二人の様子を見始めます。
(それにしても雲雀丘さんの胸大きいなぁ。
あたしも雲雀丘さんくらいの年になったらあれくらい大きくなるかな?)
そんな事を思いつつあたしは自分の胸を見下ろします。
その瞬間店の中から音が聞こえました。
ちょっと驚いて店の中を見ると、
純さんが雲雀丘さんの両手を握っています。
雲雀丘さんはかなり顔が赤くなっています。
(やっぱりあの人おねえちゃんとは遊びだったんだ!
こないだちょっと見直したけど、もう騙されないんだからっ)
あたしはそう改めて思い直しました。
しばらくすると二人は喫茶店を出てきてまた歩き出します。
そして少し歩くと、十字路で二人は別れました。
(一人になった!さっきの事問い詰めてやるんだから!)
あたしはそう思い、声をかけようとしましたが、
すぐ近くのゲームセンターにあの人は入ってしまったので、
あたしもその店に入りました。
しかし・・・
「おっと、お譲ちゃん。ちょっと待って」
いきなり声を掛けられてしまいびっくりするあたし。
「あぅっ!?」
「ごめんね。
もう6時だからお譲ちゃんくらいの子はこの店には入れないんだ」
「え、でも・・・」
「ごめんね。
でもそういうルールだからわかってね」
「そ、そんな・・・」
あたしが泣きそうになっていると声を掛けてきた人がいました。
「あれ?湊ちゃん?」
その人はあたしが追いかけていた人物でした。
「~~~」
帰り道。
あたしは恥ずかしさで赤くなりながら純さんと一緒に家に帰ります。
「いやぁ、でもまさか湊ちゃんに見られていたとはなぁ」
純さんは苦笑します。
・・・
・・・
・・・
あの後ゲームセンターを出たあたしはさっきの出来事を問い詰めたのでした。
「このドロボウ猫!やっぱりおねえちゃんとは遊びだったんだ!」
「何の事?」
「とぼけても無駄よ!
さっきあなたが雲雀丘さんの手を握ったのこの目で見たんだから!」
「ああ、あれか。
いやぁあまりに嬉しすぎてね。
つい大胆な行動しちゃったんだ。
でも雲雀丘さんにはちゃんと謝ったよ?」
「他に謝る人がいるでしょ!?」
そう言ってるとその握られた本人に声を掛けられました。
「何をしているのです?」
「「雲雀丘さん」」
・・・
・・・
・・・
「いやぁ、でもまだ雲雀丘さんがあの近くにいて助かったよ。
俺一人じゃ湊ちゃん絶対納得させられなかっただろうし」
「うぅ・・・
でもあんな光景見たら誰だってそう思うよ・・・」
「それも・・・そうだね。
まあとにかく誤解が解けてよかったよ」
雲雀丘さんがやってきていきさつを聞いたあたしはやっと納得したのでした。
そして頼まれていた八百屋さんでお買い物をして帰ってきました。
「さぁ、着いた」
そう話していると家に着いてしまいました。
あたしは一応送ってくれたお礼を言います。
「・・・送ってくれて・・・ありがとう・・・」
「うん。
湊ちゃんもおつかい偉かったね」
純さんは笑顔になります。
そしてあたしの頭を撫でてくれました。
つい顔が緩んでしまいます。
「あ・・・」
「あっと、ごめんこういうの嫌かな?」
「あ、ううん。
・・・そんなことない・・・」
「そっか、よかった。
それじゃあ俺は帰るね」
「あがっていかないの?」
「もうすぐ文化祭があるからね。
その為の準備とか練習が忙しいんだ」
「そっか・・・
じゃあそれが終わったらまた・・・来る・・・?」
「そうだね。
それじゃあまたね、湊ちゃん」
「うん、バイバイ・・・」
純さんは笑顔で手を振ると去っていきます。
その後姿をあたしは見送ります。
そして自分の気持ちにはっきりと気が付いたことを後悔します。
「なんで・・・好きになっちゃたんだろう・・・」
でもこの恋は実らない恋。
あたしは苦笑しながら家に入りました。
「ただいま~」
Fin
以上です~
なんで主人公が由貴の手を握ったのかは恐らく文化祭の出し物の事で悩んでいたけど、それの解決案を貰ったからだったという設定だった気がする・・・
このSSはこないだのみなせの誕生日に公開したSSに繋がるSSになります。
楽しんでいただけていたら幸いです。
来週からは別作品のゆずソフトさんの作品のSSを公開していきますのでよろしければまたご覧下さい