【復刻SS】探偵オペラミルキィ・アリア前編
- 2017/01/02
- 19:48
あけましておめでとうございます。
今年も遊び人をよろしくお願いします。
本当は昨日うpしようと思っていたのですが、ゆいにゃんのライブに行った後、ホテルに行って寝た後にランチを食べ家に帰ってきてからいろいろ整理をして映画を見に行って帰って来たら寝てしまっていました^^:
さて今回も復刻ですみません・・・
6年前に書いた探偵オペラミルキィホームズと緋弾のアリアのコラボ小説となっております。
アリアコラボばかりだな・・・
二人のホームズさんのお話は本日と来週に分けてお送りします~
楽しんで頂けたら幸いです。
それでは本編へどうぞ。
「フフフ・・・」
少女は口の端を上げた。
「これであの娘も終わりね。
ついにわたしの復讐は完結する・・!!」
外は元旦だというのに雷が鳴り雨が降っている。
時間は午前1時を過ぎたところだ。
「時間ね・・・」
午前1時1分1秒。
少女は呪文を言い終えた。
「ここは・・・?」
朝、神崎アリアは目を覚ました。
しかしそこは見たことがない部屋だった。
確かに昨晩は寮で寝たはずだが、まるで屋根裏のような部屋にいたのだ。
更にアリアはすぐ近くに人の気配を感じた。
そばに見たことがない少女達が3人一緒に寝ていた。
アリアは咄嗟に起き上がり警戒する。
しかし、その少女達はぐっすりと眠っている。
「これはいったい・・・」
アリアはふと鏡を見つけ、自分の姿を確認した。
そこには見知らぬ少女がいた。
「な、えええええええええ」
アリアは大声を上げた。
そうすると3人の少女が目を覚ました。
「ふあぁぁ。
なんだよ、シャロ。
朝からうるさいなぁ」
「・・・なんなんですかぁ・・・」
「どうされたんですの・・・?」
3人はとても眠たそうだ。
しかしそんな事を気にするアリアではない。
「!起きたのね・・・
あんた達、何者!?」
「はぁ?
新年の朝から何言ってるんだ?」
「いいから質問に答えなさい!
ここはどこで、あんた達は何なのよ!?」
「シャロさん・・・・どうしたんですか・・・?」
「どうしたもこうしたもないわよ!
早く答えないと風穴開けるわよ!?」
「・・・おまえ、シャロじゃないな?
おまえこそ・・・誰だ?」
「何を言ってるの!?
わたしはシャロなんて呼ばれたことなんて一度もない。
あたしの名前は神崎アリア。
東京武偵高の生徒よ」
「「「!」」」
「さああたしは答えたわよ。
あんた達は誰でこれはどういう事かお聞かせ願いましょうか」
「・・・どういうことだ?
見た目はシャロだけど、中身が全然違う!?」
「ええ・・・本当どういう事なのかしら・・・」
「・・・これは生徒会長に相談した方が・・・」
3人組は固まってなにやら相談している。
無視されていることでアリアの怒りは頂点に達した。
「・・・あんた達、あたしを無視するなんていい度胸ね・・・」
アリアが3人組に襲い掛かかろうとした瞬間。
部屋の扉が勢いよく開いた。
「何の騒ぎですか!?」
胸がとても大きな美少女がその部屋に入ってきた。
一方そのころ。
ここは東京の武偵高の寮の一室。
シャロは目を覚ましていた。
「あれぇ?
昨晩はいつもどおりネロとコーデリアさんとエリィさんと一緒に寝たはずだよね?
みんなどこいったんだろう?」
シャロは辺りを見回した。
部屋もいつも寝ている部屋と変わっていた。
ふと部屋にある鏡を見かけた。
そこに写っていたのは・・・
「あれぇ?寝癖が立ってる~
もう目覚めちゃったし髪セットしちゃおう」
シャロはいつものように髪型をセットした。
そうするとドアがノックされた。
ドアを開けると見知らぬ男の子がいた。
「・・・アリア起きたのか。
ん?なんだ髪型なんか変えて。
イメチェンか?」
「?え~と、どなたですか?」
「は?
何言ってるんだアリア」
「それからアリアって誰ですか?」
「・・・お前、大丈夫か?」
「何がですか?」
どうも話が噛み合わない。
普段から唯我独尊のアリアだが、
ここまで話が通じないのははじめてだ。
(まさか記憶喪失!?)
少年がそんな事を思った瞬間、アリア(?)は口を開いた。
「それよりあなたどなたですか?
ネロ達はどこです?」
「・・・」
どうも記憶喪失ではないようだ。
しゃべり方に違和感がある。
まるで別人が乗り移ってるかのような・・・
そう思った少年はとりあえずアリアの質問に答えることにした。
「・・・俺は遠山キンジ。
東京武偵高の生徒で、おまえとチームを組んでいる。
そのネロって人は知らないな」
「トウキョウブテイコウ?」
「そうだ。
お前も生徒だろうが」
「ええ~そんなところ知らないよ~」
目の前のアリアは本当に知らないかのように受け答えする。
そんなアリアに今度はキンジが質問した。
「んでお前は誰だ?」
普段のアリアなら間違いなく銃をここで連射しただろう。
しかし今回はそんなことはなかった。
「わたしはシャーロック・シェリンフォードだよ」
「は?」
「名前長いからみんなシャロって呼んでくれてるよ」
どうやら演技でやっているわけではないようだ。
「それよりネロ達は~」
「・・・少し落ち着いて話をしようか」
キンジはシャロと名乗ったアリアをリビングに案内した。
「改めてお名前を教えていただけますでしょうか」
アンリエットと名乗った胸の大きな少女は神崎アリアと名乗ったシャロに質問した。
ここはホームズ探偵学院の生徒会長室。
アリアはそこに連れてこられていた。
目の前には紅茶が入ったカップが置かれている。
時は数分前にさかのぼる。
部屋に入ってきたのはホームズ探偵学院の生徒会長を名乗る少女だった。
彼女が入ってきた瞬間、3人組はその人に駆け寄った。
「生徒会長いいところにきたぜ!
シャロがなんだか変なんだ!」
「「そうなんです!」」
茶髪の少女がそう言うと残った二人も続ける。
(この女・・・ただものじゃないわね・・・)
先ほどは一発触発の雰囲気だったが、
アリアは入ってきた少女からただならぬ空気を感じたので、
その様子を見ることにした。
「何がどう変なんです?」
「なんだか自分を別の名前で言ったり、風穴開けるとか物騒な事言ったり。
とにかくまるで別人みたいなんだ!」
残り二人も首を縦に何回も振っている。
それを見て生徒会長と呼ばれた少女は今度はシャロに質問した。
「これはどういうことですか?
彼女達が言ってる事は本当なんですか?」
「ええ、言ったわよ。
あたしがここがどこであんた達は何者か聞いたら、
逆にあたしこそ誰だって聞き返してくるから名乗ってあげたのに、
そうしたらあたしを完全に無視して3人で話し始めたから」
普段のシャロからは想像できないしっかりとした受け答え。
しかしそこには敵意が混じっていた。
そこからこの人がシャロではないことを見抜いたアンリエットは、
まずお詫びをすることにした。
「そうでしたか。
それはこの子達が悪いですね。
私からお詫び申し上げます。
私はこのホームズ探偵学院の生徒会長のアンリエットと申します。
彼女達はあなたが入っている体の少女と一緒にチームを組んでいたメンバーで、
譲崎ネロ、エルキュール・バートン、コーデリア・グラウカと言います。
そしてここは偵都ヨコハマです」
アンリエットはわざと“入っている”という言い回しをした。
幽霊かそれとも別の何かか、今のシャロは自分が知っているシャロではない。
「横浜?
なんでそんなところに・・・
それにこの体は・・・」
「ともかくお互い何があったのか知る必要があるようですね。
ここではなんですから場所を変えさせていただけませんか?」
「いいわ。
あたしもこのままじゃ困るからね」
「ではこちらへどうぞ」
こうしてアリアはホームズ探偵学院の生徒会室に招かれたのだった。
アンリエットの質問にアリアは答える。
「あたしは神崎アリア。
東京武偵高の2年よ」
「東京武偵高・・・
トーキョーにそんな学校があるというのは聞いた事がありませんね・・・
そもそも武偵という言葉自体聞いたことがありませんわ。
武偵とは何なのですの?」
紅茶を飲みながらアンリエットは再び質問する。
「武偵ってのは武器を持つ事が許されているなんでも屋みたいな職業。
武装探偵の略で、有償で揉め事を含めたさまざまな依頼を解決するわ。
近来急増する凶悪犯罪を防ぐため武偵を育てるのが武偵高というわけ」
「なるほど・・・
恐らくこの世界はあなたが知っている世界とは全く違う世界なのでしょうね。
何の因果かあなたの世界と私達の世界が結ばれてしまったのでしょう。
何かそういった事が起こる心当たりはありませんか?」
「そうね。
この世界はどうだか知らないけど、
あたしがいた世界では超能力を使える人間がいるわ。
こんなことできるのはそういった力を持つ人間しか考えられない。
あたしが対象になったのは・・・
あたしは武偵としてさまざまな事件を解決してきたわ。
だから恨まれていても不思議ではないわ」
「この世界でも超能力が使える人間がいます。
この世界では超能力を総称してトイズと呼びます。
この学院の生徒達は何かしらの能力を持っていますわ」
「なるほど、ここはその超能力者を育てる学校って事ね」
「はい。
私も例に漏れず超能力が使えます。
そしてあなたが入っているその少女も超能力が使えました。
その力は物に触れずに動かすことができる念動力でした。
もっとも今は使えなくなっておりますが」
「もしかしてそれはあたしが乗り移ったせい?」
「いえ、そうとは思えません。
使えなくなったのはあなたが来る少し前からでしたから」
「そう。
しかし困ったわ。
これからどうすればいいかしら」
「とりあえず私が元の世界に戻る方法を探ってみます。
それまでは不自由かと思いますが、
シャーロックさんのその体でお過ごしください」
「え!
今なんて!?」
「ですからその体でお過ごしくださいと・・・」
「その前!
この子の名前・・・」
「ああ、言ってませんでしたね。
この子の正式な名前はシャーロック・シェリンフォード。
かの有名なシャーロック・ホームズの子孫ですわ」
「・・・そういうこと・・・」
「何かお分かりになりましたの?」
「あたしの名前は神崎アリアと名乗ったわね」
「はい」
「でも正式には神崎ホームズアリア。
あたしも元の世界ではシャーロック・ホームズの子孫だったのよ」
「!!それは本当ですか・・・
シャロックさんの体にあなたが入ったのはただの偶然ではなかったのですね」
「そうみたいね。
あたしもびっくりしたわ」
「とにかく私はあなたが元の世界に戻る方法を探します。
シャーロックさん本人の事も気になりますし」
「そうね。
無事だといいわね。
その子」
「はい。
ではここでの生活のことはあの子達にお聞きください」
「わかったわ。
それじゃ」
アリアは部屋を出た。
そうすると先ほど紹介してもらった3人がいた。
「あの・・・シャロじゃなかった・・・アリアさん。
先ほどはごめんなさい・・・」
紫色の髪の子が誤ってくる。
続けて残りの二人も頭を下げた。
「もういいわ。
それよりこの子の事や学院の事を教えてくれるかしら」
「おう。
任せてくれ」
こうしてアリアは学院でのことを知った。
シャロはリビングに通されていた。
目の前には少年が一人と数人の美少女達。
シャロはこれまでにアリアとは誰か、
ここはどこなのかという説明を受けていた。
そして確かめるように目の前の少年が改めて質問する。
「もう一度聞くが、君はアリアではないんだな」
「うん」
シャロはうなずく。
「シャーロックって事はホームズの子孫って事?」
黒髪の美しい胸の大きな少女がシャロに質問する。
「そうだよ~」
シャロは即答する。
「なぁ、アリア以外にも当然ホームズの子孫っているわけだよな。
その子孫の誰かって事はないか?」
「可能性的には考えられるね・・・
今本家で調べてもらってるけど・・・」
そんなやりとりをしていると玄関のベルが鳴った。
キンジがドアに向かう。
「やっほ~キー君。
あけおめ~ことよろ~」
「ああ、あけましておめでとう。
今年もよろしく。
理子いいところに来た。
ちょっと聞きたい事があるんだ」
「なぁに~?
理子の男性の好みとか~?」
「いや、ちょっと問題が起きてな。
とにかくあがってくれ」
「・・・うん、わかった」
理子はキンジの部屋に入った。
部屋に通されると理子はびっくりした。
そこには髪型だけコスプレをしたアリアがいたからだ。
「え、どうしたのアリア。
そんな元旦から髪型だけコスプレなんかして」
「?
わたしはいつもこの髪型ですよ?」
目の前のアリアが返答する。
「!ねぇ、キー君これどういうこと?」
「実はな・・・」
キンジは理子にアリアが別人のようになってしまった事を説明した。
それでホームズ家にこのような少女がいなかったかどうかも聞いてみた。
「う~ん。
私が知る限り知らないなぁ。
ホームズ家の事はアリアの事もあったからそこそこ調べたことはあるけど」
理子の情報網はプロレベルだ。
キンジはその情報網に望みをかけていたのだが駄目だったようだ。
「あ、でもね」
「どうした?」
「そのシャーロック・シェリンフォードって名前には心当たりありまくりだよ」
「どういう事だ?」
「さっきアリアを見てコスプレって言ったでしょ。
実はその名前アニメで聞いたことあるんだ~
探偵オペラミルキィ・ホームズってアニメでね。
こないだの冬コミでも同人誌が売られていたよ。
その作品に出てくるホームズの子孫の名前がそれだね。
その子から聞いたネロ、エル、コーデリアって名前の少女達も出てくるよ」
「でもアニメだろ?」
「うん」
「キンちゃん。
もしかしたらありえるかも」
それまでキンジと理子のやりとりを見ていた白雪が口を開いた。
「にわかには信じられないと思うけど、
呪いの類で別の世界の人間と入れ替える、みたいなのがあったかも・・・
でもものすごくリスクが高かったはずだけど・・・
確か遺伝子レベルで同じ人じゃないとできなかったはず・・・」
「それは本当か!?」
「うん。
詳しくはちゃんと調べないとわからないけど」
「そうか。
白雪、お願いできるか?」
「うん。
ちょっと調べてみるよ」
「すまん、頼む」
そんなやりとりをしていると理子はアリアに話しかけていた。
もうお互い自己紹介はすんだようだ。
「そっか~
でもアニメのキャラと本当に会話できるなんて~
アリアと違ってシャロちゃんはかわいくて素直でいいなぁ。
もうずっとこの体使っちゃいなよ~」
理子が縁起でもない事を言う。
「おい、このままじゃこの子もかわいそうだし、
チーム面でも問題あるだろ」
「キー君は固いなぁ。
まあでもこうなっちゃった以上しばらくはこの体を使ってもらうしかないんだし。
とりあえずこの世界のこと教えてあげようよ」
「そうだな」
「ご迷惑をおかけしてごめんなさいっ。
よろしくお願いします」
「気にしなくていいよ~」
「理子の言うとおりだな。
君は被害者なんだから気にすることはない。
とりあえず神埼アリアって呼ばれたら君の事が呼ばれていると思ってくれ」
「わかりました」
こうしてシャロは説明を受けた。
今年も遊び人をよろしくお願いします。
本当は昨日うpしようと思っていたのですが、ゆいにゃんのライブに行った後、ホテルに行って寝た後にランチを食べ家に帰ってきてからいろいろ整理をして映画を見に行って帰って来たら寝てしまっていました^^:
さて今回も復刻ですみません・・・
6年前に書いた探偵オペラミルキィホームズと緋弾のアリアのコラボ小説となっております。
アリアコラボばかりだな・・・
二人のホームズさんのお話は本日と来週に分けてお送りします~
楽しんで頂けたら幸いです。
それでは本編へどうぞ。
「フフフ・・・」
少女は口の端を上げた。
「これであの娘も終わりね。
ついにわたしの復讐は完結する・・!!」
外は元旦だというのに雷が鳴り雨が降っている。
時間は午前1時を過ぎたところだ。
「時間ね・・・」
午前1時1分1秒。
少女は呪文を言い終えた。
「ここは・・・?」
朝、神崎アリアは目を覚ました。
しかしそこは見たことがない部屋だった。
確かに昨晩は寮で寝たはずだが、まるで屋根裏のような部屋にいたのだ。
更にアリアはすぐ近くに人の気配を感じた。
そばに見たことがない少女達が3人一緒に寝ていた。
アリアは咄嗟に起き上がり警戒する。
しかし、その少女達はぐっすりと眠っている。
「これはいったい・・・」
アリアはふと鏡を見つけ、自分の姿を確認した。
そこには見知らぬ少女がいた。
「な、えええええええええ」
アリアは大声を上げた。
そうすると3人の少女が目を覚ました。
「ふあぁぁ。
なんだよ、シャロ。
朝からうるさいなぁ」
「・・・なんなんですかぁ・・・」
「どうされたんですの・・・?」
3人はとても眠たそうだ。
しかしそんな事を気にするアリアではない。
「!起きたのね・・・
あんた達、何者!?」
「はぁ?
新年の朝から何言ってるんだ?」
「いいから質問に答えなさい!
ここはどこで、あんた達は何なのよ!?」
「シャロさん・・・・どうしたんですか・・・?」
「どうしたもこうしたもないわよ!
早く答えないと風穴開けるわよ!?」
「・・・おまえ、シャロじゃないな?
おまえこそ・・・誰だ?」
「何を言ってるの!?
わたしはシャロなんて呼ばれたことなんて一度もない。
あたしの名前は神崎アリア。
東京武偵高の生徒よ」
「「「!」」」
「さああたしは答えたわよ。
あんた達は誰でこれはどういう事かお聞かせ願いましょうか」
「・・・どういうことだ?
見た目はシャロだけど、中身が全然違う!?」
「ええ・・・本当どういう事なのかしら・・・」
「・・・これは生徒会長に相談した方が・・・」
3人組は固まってなにやら相談している。
無視されていることでアリアの怒りは頂点に達した。
「・・・あんた達、あたしを無視するなんていい度胸ね・・・」
アリアが3人組に襲い掛かかろうとした瞬間。
部屋の扉が勢いよく開いた。
「何の騒ぎですか!?」
胸がとても大きな美少女がその部屋に入ってきた。
一方そのころ。
ここは東京の武偵高の寮の一室。
シャロは目を覚ましていた。
「あれぇ?
昨晩はいつもどおりネロとコーデリアさんとエリィさんと一緒に寝たはずだよね?
みんなどこいったんだろう?」
シャロは辺りを見回した。
部屋もいつも寝ている部屋と変わっていた。
ふと部屋にある鏡を見かけた。
そこに写っていたのは・・・
「あれぇ?寝癖が立ってる~
もう目覚めちゃったし髪セットしちゃおう」
シャロはいつものように髪型をセットした。
そうするとドアがノックされた。
ドアを開けると見知らぬ男の子がいた。
「・・・アリア起きたのか。
ん?なんだ髪型なんか変えて。
イメチェンか?」
「?え~と、どなたですか?」
「は?
何言ってるんだアリア」
「それからアリアって誰ですか?」
「・・・お前、大丈夫か?」
「何がですか?」
どうも話が噛み合わない。
普段から唯我独尊のアリアだが、
ここまで話が通じないのははじめてだ。
(まさか記憶喪失!?)
少年がそんな事を思った瞬間、アリア(?)は口を開いた。
「それよりあなたどなたですか?
ネロ達はどこです?」
「・・・」
どうも記憶喪失ではないようだ。
しゃべり方に違和感がある。
まるで別人が乗り移ってるかのような・・・
そう思った少年はとりあえずアリアの質問に答えることにした。
「・・・俺は遠山キンジ。
東京武偵高の生徒で、おまえとチームを組んでいる。
そのネロって人は知らないな」
「トウキョウブテイコウ?」
「そうだ。
お前も生徒だろうが」
「ええ~そんなところ知らないよ~」
目の前のアリアは本当に知らないかのように受け答えする。
そんなアリアに今度はキンジが質問した。
「んでお前は誰だ?」
普段のアリアなら間違いなく銃をここで連射しただろう。
しかし今回はそんなことはなかった。
「わたしはシャーロック・シェリンフォードだよ」
「は?」
「名前長いからみんなシャロって呼んでくれてるよ」
どうやら演技でやっているわけではないようだ。
「それよりネロ達は~」
「・・・少し落ち着いて話をしようか」
キンジはシャロと名乗ったアリアをリビングに案内した。
「改めてお名前を教えていただけますでしょうか」
アンリエットと名乗った胸の大きな少女は神崎アリアと名乗ったシャロに質問した。
ここはホームズ探偵学院の生徒会長室。
アリアはそこに連れてこられていた。
目の前には紅茶が入ったカップが置かれている。
時は数分前にさかのぼる。
部屋に入ってきたのはホームズ探偵学院の生徒会長を名乗る少女だった。
彼女が入ってきた瞬間、3人組はその人に駆け寄った。
「生徒会長いいところにきたぜ!
シャロがなんだか変なんだ!」
「「そうなんです!」」
茶髪の少女がそう言うと残った二人も続ける。
(この女・・・ただものじゃないわね・・・)
先ほどは一発触発の雰囲気だったが、
アリアは入ってきた少女からただならぬ空気を感じたので、
その様子を見ることにした。
「何がどう変なんです?」
「なんだか自分を別の名前で言ったり、風穴開けるとか物騒な事言ったり。
とにかくまるで別人みたいなんだ!」
残り二人も首を縦に何回も振っている。
それを見て生徒会長と呼ばれた少女は今度はシャロに質問した。
「これはどういうことですか?
彼女達が言ってる事は本当なんですか?」
「ええ、言ったわよ。
あたしがここがどこであんた達は何者か聞いたら、
逆にあたしこそ誰だって聞き返してくるから名乗ってあげたのに、
そうしたらあたしを完全に無視して3人で話し始めたから」
普段のシャロからは想像できないしっかりとした受け答え。
しかしそこには敵意が混じっていた。
そこからこの人がシャロではないことを見抜いたアンリエットは、
まずお詫びをすることにした。
「そうでしたか。
それはこの子達が悪いですね。
私からお詫び申し上げます。
私はこのホームズ探偵学院の生徒会長のアンリエットと申します。
彼女達はあなたが入っている体の少女と一緒にチームを組んでいたメンバーで、
譲崎ネロ、エルキュール・バートン、コーデリア・グラウカと言います。
そしてここは偵都ヨコハマです」
アンリエットはわざと“入っている”という言い回しをした。
幽霊かそれとも別の何かか、今のシャロは自分が知っているシャロではない。
「横浜?
なんでそんなところに・・・
それにこの体は・・・」
「ともかくお互い何があったのか知る必要があるようですね。
ここではなんですから場所を変えさせていただけませんか?」
「いいわ。
あたしもこのままじゃ困るからね」
「ではこちらへどうぞ」
こうしてアリアはホームズ探偵学院の生徒会室に招かれたのだった。
アンリエットの質問にアリアは答える。
「あたしは神崎アリア。
東京武偵高の2年よ」
「東京武偵高・・・
トーキョーにそんな学校があるというのは聞いた事がありませんね・・・
そもそも武偵という言葉自体聞いたことがありませんわ。
武偵とは何なのですの?」
紅茶を飲みながらアンリエットは再び質問する。
「武偵ってのは武器を持つ事が許されているなんでも屋みたいな職業。
武装探偵の略で、有償で揉め事を含めたさまざまな依頼を解決するわ。
近来急増する凶悪犯罪を防ぐため武偵を育てるのが武偵高というわけ」
「なるほど・・・
恐らくこの世界はあなたが知っている世界とは全く違う世界なのでしょうね。
何の因果かあなたの世界と私達の世界が結ばれてしまったのでしょう。
何かそういった事が起こる心当たりはありませんか?」
「そうね。
この世界はどうだか知らないけど、
あたしがいた世界では超能力を使える人間がいるわ。
こんなことできるのはそういった力を持つ人間しか考えられない。
あたしが対象になったのは・・・
あたしは武偵としてさまざまな事件を解決してきたわ。
だから恨まれていても不思議ではないわ」
「この世界でも超能力が使える人間がいます。
この世界では超能力を総称してトイズと呼びます。
この学院の生徒達は何かしらの能力を持っていますわ」
「なるほど、ここはその超能力者を育てる学校って事ね」
「はい。
私も例に漏れず超能力が使えます。
そしてあなたが入っているその少女も超能力が使えました。
その力は物に触れずに動かすことができる念動力でした。
もっとも今は使えなくなっておりますが」
「もしかしてそれはあたしが乗り移ったせい?」
「いえ、そうとは思えません。
使えなくなったのはあなたが来る少し前からでしたから」
「そう。
しかし困ったわ。
これからどうすればいいかしら」
「とりあえず私が元の世界に戻る方法を探ってみます。
それまでは不自由かと思いますが、
シャーロックさんのその体でお過ごしください」
「え!
今なんて!?」
「ですからその体でお過ごしくださいと・・・」
「その前!
この子の名前・・・」
「ああ、言ってませんでしたね。
この子の正式な名前はシャーロック・シェリンフォード。
かの有名なシャーロック・ホームズの子孫ですわ」
「・・・そういうこと・・・」
「何かお分かりになりましたの?」
「あたしの名前は神崎アリアと名乗ったわね」
「はい」
「でも正式には神崎ホームズアリア。
あたしも元の世界ではシャーロック・ホームズの子孫だったのよ」
「!!それは本当ですか・・・
シャロックさんの体にあなたが入ったのはただの偶然ではなかったのですね」
「そうみたいね。
あたしもびっくりしたわ」
「とにかく私はあなたが元の世界に戻る方法を探します。
シャーロックさん本人の事も気になりますし」
「そうね。
無事だといいわね。
その子」
「はい。
ではここでの生活のことはあの子達にお聞きください」
「わかったわ。
それじゃ」
アリアは部屋を出た。
そうすると先ほど紹介してもらった3人がいた。
「あの・・・シャロじゃなかった・・・アリアさん。
先ほどはごめんなさい・・・」
紫色の髪の子が誤ってくる。
続けて残りの二人も頭を下げた。
「もういいわ。
それよりこの子の事や学院の事を教えてくれるかしら」
「おう。
任せてくれ」
こうしてアリアは学院でのことを知った。
シャロはリビングに通されていた。
目の前には少年が一人と数人の美少女達。
シャロはこれまでにアリアとは誰か、
ここはどこなのかという説明を受けていた。
そして確かめるように目の前の少年が改めて質問する。
「もう一度聞くが、君はアリアではないんだな」
「うん」
シャロはうなずく。
「シャーロックって事はホームズの子孫って事?」
黒髪の美しい胸の大きな少女がシャロに質問する。
「そうだよ~」
シャロは即答する。
「なぁ、アリア以外にも当然ホームズの子孫っているわけだよな。
その子孫の誰かって事はないか?」
「可能性的には考えられるね・・・
今本家で調べてもらってるけど・・・」
そんなやりとりをしていると玄関のベルが鳴った。
キンジがドアに向かう。
「やっほ~キー君。
あけおめ~ことよろ~」
「ああ、あけましておめでとう。
今年もよろしく。
理子いいところに来た。
ちょっと聞きたい事があるんだ」
「なぁに~?
理子の男性の好みとか~?」
「いや、ちょっと問題が起きてな。
とにかくあがってくれ」
「・・・うん、わかった」
理子はキンジの部屋に入った。
部屋に通されると理子はびっくりした。
そこには髪型だけコスプレをしたアリアがいたからだ。
「え、どうしたのアリア。
そんな元旦から髪型だけコスプレなんかして」
「?
わたしはいつもこの髪型ですよ?」
目の前のアリアが返答する。
「!ねぇ、キー君これどういうこと?」
「実はな・・・」
キンジは理子にアリアが別人のようになってしまった事を説明した。
それでホームズ家にこのような少女がいなかったかどうかも聞いてみた。
「う~ん。
私が知る限り知らないなぁ。
ホームズ家の事はアリアの事もあったからそこそこ調べたことはあるけど」
理子の情報網はプロレベルだ。
キンジはその情報網に望みをかけていたのだが駄目だったようだ。
「あ、でもね」
「どうした?」
「そのシャーロック・シェリンフォードって名前には心当たりありまくりだよ」
「どういう事だ?」
「さっきアリアを見てコスプレって言ったでしょ。
実はその名前アニメで聞いたことあるんだ~
探偵オペラミルキィ・ホームズってアニメでね。
こないだの冬コミでも同人誌が売られていたよ。
その作品に出てくるホームズの子孫の名前がそれだね。
その子から聞いたネロ、エル、コーデリアって名前の少女達も出てくるよ」
「でもアニメだろ?」
「うん」
「キンちゃん。
もしかしたらありえるかも」
それまでキンジと理子のやりとりを見ていた白雪が口を開いた。
「にわかには信じられないと思うけど、
呪いの類で別の世界の人間と入れ替える、みたいなのがあったかも・・・
でもものすごくリスクが高かったはずだけど・・・
確か遺伝子レベルで同じ人じゃないとできなかったはず・・・」
「それは本当か!?」
「うん。
詳しくはちゃんと調べないとわからないけど」
「そうか。
白雪、お願いできるか?」
「うん。
ちょっと調べてみるよ」
「すまん、頼む」
そんなやりとりをしていると理子はアリアに話しかけていた。
もうお互い自己紹介はすんだようだ。
「そっか~
でもアニメのキャラと本当に会話できるなんて~
アリアと違ってシャロちゃんはかわいくて素直でいいなぁ。
もうずっとこの体使っちゃいなよ~」
理子が縁起でもない事を言う。
「おい、このままじゃこの子もかわいそうだし、
チーム面でも問題あるだろ」
「キー君は固いなぁ。
まあでもこうなっちゃった以上しばらくはこの体を使ってもらうしかないんだし。
とりあえずこの世界のこと教えてあげようよ」
「そうだな」
「ご迷惑をおかけしてごめんなさいっ。
よろしくお願いします」
「気にしなくていいよ~」
「理子の言うとおりだな。
君は被害者なんだから気にすることはない。
とりあえず神埼アリアって呼ばれたら君の事が呼ばれていると思ってくれ」
「わかりました」
こうしてシャロは説明を受けた。